- ヴィーケン県
- Viken fylke
- 測地系: 北緯60度0分0秒 東経10度0分0秒
ヴィーケン県(ヴィーケンけん、ノルウェー語: Viken fylke)はかつてノルウェー南部に存在した県。北をインランデ県、東をスウェーデンのヴェルムランド県、南東をスウェーデンのヴェストラ・イェータランド県、南をヴェストフォル・オ・テレマルク県、西をヴェストラン県と接し、オスロ・フィヨルド最北奥のオスロを取り囲んでいた。公式の行政中心地はオスロ、ドランメン、サルプスボルグの3都市。県知事所在地はモス。
面積は2万4593平方キロメートル、人口は2023年時点で約124万人。最も人口の多い県で、国民の5人に1人がヴィーケン県に住んでいる計算であった。
2020年1月1日にアーケシュフース県、ブスケルー県、エストフォル県およびオップラン県ルンネルとイェヴナーケル、ヴェストフォル県Svelvik(現在のドランメン市)が合併して成立した。だが強制的な合併は住人の支持を得られず、2024年1月1日付けで合併は解消されて消滅した。
県知事(Statsforvalter)は「オスロ・オ・ヴィーケン県知事」で、オスロ県知事も兼任している。ヴィーケン県廃止後もオスロ、エストフォル県、アーケシュフース県、ブスケルー県の県知事を兼ねる形で留任している。2024年2月23日、ヴィーケン県消滅に伴い役職名は「エストフォル、ブスケルー、オスロ・オ・アーケシュフース県知事(Statsforvalteren i Østfold, Buskerud, Oslo og Akershus)」に改称された。
名称
県名は歴史的地名のヴィーケンに由来する。
ヴァイキング時代はオスロ・フィヨルドの両端とアーケシュフースの大部分を含んでいたが、中世に入るとブーヒュースレーン地方北部のみを指す言葉へと変化した。スヴェレ・シグルツソン王の時代にヴィーケンはRanrikeとElfsyslaへ分割された後、1532年にブーヒュースレーンへ編入された。同地域がスウェーデンに帰属して以降、ノルウェーでは次第に使われなくなった。第二次世界大戦時、ナチス・ドイツの傀儡政権のクヴィスリング政権が地名として復活させ、ヴェストヴィーケン県とエストヴィーケン県を設置したが敗戦により消滅している。21世紀に入ってからはViken Fiberといった国内の企業や団体が名称として使用するようになった。
ニーノシュク推進派団体のNoregs Mållagは、ブスケルー県北部といったオスロ・フィヨルド以外の内陸部を含んでいることからヴィーケンと名乗ることに反対している。
県廃止後も県知事の役職名として「ヴィーケン」は残っていたが、2024年2月23日に「エストフォル、ブスケルー、オスロ・オ・アーケシュフース県知事」へ改称したことで消滅した。Karianne Tungデジタル化・行政大臣は「ヴィーケンはもはや県名でも地名でもない。現在の県知事は複数の県を担当する豊富な経験を持っている」と説明している。
歴史
合併まで
ヴィーケン県の合併構想が発表されたのは2016年4月5日であった。各県議会からは合併反対の声が相次いだ。アーケシュフース県は歴史的にオスロと結びつきが強く、オスロ以外との合併に強く反対した。エストフォル県は地域の拡大により、県の一貫性が無くなるとして反対した。2017年6月8日にストーティングでヴィーケン県の合併が採択されると、ブスケルー県は「ヴィーケン県設立を支持する基盤はもはや存在しない」と述べ、強制合併に上訴する構えを示した。
Norstatが2018年に実施した世論調査では合併賛成が14%、反対は56%であった。Infactが2019年に実施した世論調査では賛成が20.6%、反対が57%であった。支持政党別にみると、4つの与党のうち進歩党、保守党、キリスト教民主党支持者は反対が賛成よりも多く、ノルウェー自由党支持者のみ賛成が反対を上回った。
2019年9月9日に先駆けてヴィーケン県議会議員選挙が実施された。議席を獲得した政党のうちノルウェー労働党、中央党、社会主義左翼党、緑の党の4党はヴィーケン県の解散に向けて協力を発表した。4党から成る「ヴィーケン県行政プラットフォーム」の議席は45席で、ヴィーケン県議会の過半数以上を占める。行政プラットフォームは、2021年ストーティング総選挙まではヴィーケン県の新県庁を建設せず、総選挙後にストーティングへ県の解散と旧県の復活を求める方針に合意した。
ヴィーケン県
2020年1月1日、予定通り合併が執り行われヴィーケン県が発足した。間もなく進歩党が政権から離脱し、これを好機と見た社会主義左翼党は1月22日にストーティングへ県の解散を求める意見書を提出した。3月10日、進歩党は行政プラットフォームの支援を発表した。
2021年9月13日のストーティング総選挙では行政プラットフォームの各党が過半数を獲得。中央党はヴィーケン県の解散を連立政権の参加条件とした。ヴィーケン県議会は総選挙結果を受け、解散に向けた具体的なプロセスを開始した。Norstatが2022年に行った世論調査では、56%が解散に賛成し、27%が反対していた。
2022年2月23日、県議会はヴィーケン県の解散を決定した。2024年1月1日付けでヴィーケン県は消滅し、アーケシュフース県、ブスケルー県、エストフォル県が復活した。なお2020年までオップラント県に属していたイェヴナーケル、ルンネルの2自治体は新たなアーケシュフース県に帰属する。
政治
基礎自治体
ヴィーケン県には51の基礎自治体(Kommune)が属している。県発足と同日に自治体の合併が行われた。
ノルウェー語にはブークモールとニーノシュクの2つの筆記法が存在しており、自治体によって採用している筆記法が異なる。ニュートラル(Nøytral)はどちらにも限定していないことを表す。
廃止された自治体
いずれの自治体も2020年1月1日に廃止されている。
- 旧エストフォル県
- 0121 Rømskog(アウシュコーグ・ホーランド に編入のため)
- 0122 Trøgstad(インドレ・エストフォル新設のため)
- 0123 Spydeberg(インドレ・エストフォル新設のため)
- 0124 Askim(インドレ・エストフォル新設のため)
- 0125 Eidsberg(インドレ・エストフォル新設のため)
- 0136 Rygge(モスに編入のため)
- 0138 Hobøl (インドレ・エストフォル新設のため)
- 旧アーケシュフース県
- 0213 Ski(ノルドレ・フォロ新設のため)
- 0217 Oppegård(ノルドレ・フォロ新設のため)
- 0226 Sørum(リールストロム新設のため)
- 0227 Fet(リールストロム新設のため)
- 0231 Skedsmo(リールストロム新設のため)
- 旧ブスケルー県
- 0625 Nedre Eiker(ドランメンに編入のため)
- 0627 Røyken(アスケーに編入のため)
- 0628 Hurum(アスケーに編入のため)
- 旧ヴェストフォル県
- 0711 Svelvik(ドランメンに編入のため)
交通
欧州自動車道路のE06号線、E16号線、E18号線が県内を通っている。
空港はオスロ空港(ガーデモエン空港)がユレンサッカルに所在する。
脚注



