生善院(しょうぜんいん)は、熊本県球磨郡水上村にある真言宗智山派の寺院である。 寺に残る伝説から、「猫寺」の通称で知られる。山門脇には、狛犬ならぬ「狛猫」が置かれる。

寛永2年(1625年)建立の観音堂は、国の重要文化財に指定されている。観音堂内の須弥壇嵌板にも猫が彫刻されている。

伝説

創建は寛永2年(1625年)、相良氏第20代相良長毎(頼房)によるもので、次のような由来をもつ。

かつてこの地にあった普門寺の住持・盛誉法印は、天正10年(1582年)3月16日、相良氏より無実の罪によって殺され、寺にも火をかけられた。

息子の死を恨んだ法印の母・玖月善女は、相良氏を呪い、断食して市房神社で37日間(21日間とも)の咀呪をなし、指を噛み切って神像に血を塗り、愛猫の黒猫「玉垂」にも因果を含めて自分の生血をすすらせ復讐を誓い、猫とともに淵に身を投げて死んだ。

その後、相良氏が化け猫に悩まされるようになり、盛誉親子らの霊を鎮めるため、普門寺跡に建てられたのが生善院だという。初代住持は願成寺第16代の尭辰。藩では盛誉法印の命日3月16日に藩民に寺への参詣を命じ、藩主自らも参詣したので、祟りは止んだと伝えられる。

文化財

重要文化財(国指定)

  • 生善院観音堂(附:厨子) - 江戸時代前期(1625年)の建立。桁行三間、梁間三間、一重、寄棟造、茅葺、向拝一間、こけら葺。平成2年(1990年)09月11日指定。

御詠歌

野も過ぎて里をも過ぎてなかやまの 寺に参るは後の世の為

所在地

  • 熊本県球磨郡水上村大字岩野3542

交通

  • くま川鉄道湯前駅徒歩20分

注釈

参考文献

  • 『球磨郡郷土誌』(熊本県教育会球磨郡支会,1916) 98頁
  • 後藤重久編『球磨案内』(後藤重久,1923)6-7頁
  • 『くまもと』(新興熊本大博覧会協賛会,1935)97-98頁
  • 『熊本県大観』(警醒社,1935)別天地球磨郡8頁
  • 春野草結『九州八十八ヶ所百八霊場ガイド』(朱鷺書房,2011)
  • 『熊本・観光文化検定 公式テキストブック』(熊本商工会議所,2006)62頁
  • 熊本県高等学校地歴・公民科研究会日本史部会編『熊本県の歴史散歩』(山川出版社,2010)
  • 生善院観音堂パンフレット

関連項目

  • 市房山 玖月善女が復讐を誓った市房神社がある
  • 人吉藩 相良氏が治めた藩 
  • 湯山宗昌 盛誉法院の実兄

外部リンク

  • 生善院(猫寺)の由来 - 水上村
  • 生善院観音堂(猫寺) - 水上村

生善院 (猫寺) 授与品 球磨郡水上村/熊本県 Omairi(おまいり)

「上善は水の若し」 木村水映(北京外国語大学) 公益社団法人 日本中国友好協会(日中友好協会)

生善院観音堂 人吉文化財

ウスギキンモクセイ(生善院)(水上村・村指定天然記念物) 熊本の文化財めぐり

生善院観音堂 人吉文化財